08
2022
0
ベルファスト
CATEGORY映画-欧州

北アイルランド・ベルファストに暮らす9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)は、仲の良い家族と友人たちに囲まれ、映画や音楽を楽しむ幸せな日々を過ごしていた。
しかし1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民を攻撃したことで、彼の穏やかな日常は一変。
住民同士が顔なじみで一つの家族のようだったベルファストの街は、この暴動を境に分断されてしまう。
住民の間の対立が激化し、暴力と隣り合わせの日々を送る中、バディの家族は故郷を離れるべきか否か苦悩する。
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バディの幸せな生活は、或る日突然消えてしまった。
プロテスタントvsカトリックの対立がベルファストの街にひろがり、昨日まで仲の良かった近所が敵味方に分断されてしまった。
イギリス軍が出動する事態に誰もが戸惑いを隠せなくなり、暗闇な空気が街全体を包んでいく。
出稼ぎでロンドンに行き、世情を知る父親は移住を提案するが、ベルファストしか知らない母親はこれを拒絶する。
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ベルファスト出身のケネス・プラナー監督によるオートフィクション。
WWⅠさなかのダブリン蜂起から積み重なった独立機運が暴発した1969年。
解決の糸口の見当がつかない事態、成す術が見つからない日常に、誰もが殺伐としていた。
大人は理性を失い、子供は大人を見て相応に解釈する。
子供たちの笑顔に未来を見ているのは敵味方の共通点だったかも。
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監督自身も制作途中で想起したと語っているけれど、ベルファストのロックダウンにコロナ自粛を連想した人は多いと思う。
平穏な日常はいとも簡単に崩れ去る事を誰もが認識した。
仮想敵は不安の証明で安心の担保かもしれない。
そんな非日常をどう覆すの?
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バディの憂いは、僕の、貴方の物語。
一家の物語は、きっと誰かの物語。
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喜劇と悲劇は表裏一体。―― この物語が凄いのは子供目線で描く事で、徹底してフラットなところだと思う。
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