ノマドランド

アメリカ・ネバダ州に暮らす60代の女性ファーン(フランシス・マクドーマンド)は、リーマンショックによる企業の倒産で住み慣れた家を失ってしまう。
彼女はキャンピングカーに荷物を積み込み、車上生活をしながら過酷な季節労働の現場を渡り歩くことを余儀なくされる。
現代の「ノマド(遊牧民)」として一日一日を必死に乗り越え、その過程で出会うノマドたちと苦楽を共にし、ファーンは広大な西部をさすらう。

---

リーマンショックにより企業倒産どころか企業城下町エンパイアそのものが無くなった。
社宅を追い出されたファーンはカスタマイズしたキャンピングカーで寝泊まりしながら季節労働者生活を余儀なくされる。
・
世間から"ノマド≒放浪民"と呼ばれる人々だけれど、それぞれに理由が有って、それぞれが事情を抱えてる。
進んで自由を享受する者もいれば、生きる目的を失って今を甘受している者もいる。
老後を楽しむ"高等遊牧民"と、そうせざるえない"季節労働者"。
ただ平均年齢は高め。
・
行く先々で様々な人生に触れるファーンにもノマドを選択する事情が有ったし、抜け出す機会も有った。
エンディングでのファーンの選択が正解かどうか解らない。――　ファーンのパーソナリティー考えたら仕方ない気もするけれど。
本人が決めたことだから外野はどうこう言えないけれど、自分自身に置き換えて色々考えた観客は多いんじゃないかな。
正直、寂寥感が感情の殆どを占めてしまった作品だけれど、人生ってそういうものかなとか納得もしてしまった。
ドキュメンタリータッチの物語は、映像がとにかく素晴らしかったし、美しかった。