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05
2021

くちばみ

CATEGORY書籍








くちばみ
「BOOK」データベースより
古く蝮を「くちばみ」と呼んだ。鋭い毒牙を持つその長虫は、親の腹を食い破って生まれるという―。時は戦国、下剋上の世。
母に見捨てられ、父の油売りを手伝い、どん底から這い上がった峯丸は、いつしか国盗りの野望を抱くようになる。狙うは天下の要・美濃国。
調略と誑かしで政敵を次々に抹殺し、主君の土岐頼芸をも追放する。だが、その頃、息子義龍の胸中には、父への嫉妬と憎悪が渦巻いていた…。


赤子の時から誰もが魅入る美貌だった峯丸を溺愛する父・基宗。
妻・藤が家を捨てた後に心を入れ替えた基宗は油売りに励み、商売人として頭角を現す。
そんな父親を見て育った峯丸 ―― のちの道三もまた、文武に精進し、商売でも才覚を表す。
やがて父子の夢は下剋上 ―― 父は絶対的支配者が不在の美濃国に標準を見定めた。
謀略でのし上がり、ついに守護・土岐頼芸を追放し野望を遂げた道三。
しかし、後継者義龍にも野望が芽生えていた ―― それは父・道三に対する疑義から始まっていた。

冒頭から低空飛行で、美濃に入ってから土岐頼芸に取り入るあたりの中弛みはどうかと思うけれど、下剋上を成し遂げてからエンディングまでがヤバかった。
道三が商売人時代に作った庶兄と、道三を倒した義龍との対話のシーンで、チョット背筋に電気が走った。
「あぁ、この対話の為の助走だったのか」と。
やりたい放題に生きてきた道三の爽快とも云える諦念の一方で、色々刮目した義龍には残された時間は少なかったな。

「弾正星」で松永久秀を爽快ピカレスクに描いた花村萬月の最新作。
次は宇喜多直家しかないね。

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