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06
2019

ちいさな独裁者

CATEGORY映画-欧州







ちいさな独裁者
1945年4月。兵士の軍規違反が頻発するドイツで、部隊から逃げてきたヘロルト(マックス・フーバッヒャー)は、廃棄された車両の中で将校の軍服を見つける。
それを身に着け大尉に成り済ました彼は、出会った兵士たちを次々と服従させて「へロルト親衛隊」のリーダーになる。
彼の振る舞いはエスカレートし、やがて大量殺りくに向かっていく。



所属した部隊から逃げ切った脱走兵ヘロルトは、脱輪放置された車両内から将校正装一式を発見する。
身に着けた直後、出会ったフライターク上等兵から敬礼を受けたヘロルトはそのまま大尉に成りすます事に。
行く先々で兵士を服従させたヘロルトの行動はエスカレートしていく。

憲兵隊をも欺いたヘロルト一行が辿り着いた脱走兵対象の収容所。
ここでもヘロルトは巧妙な嘘をついて瞬く間に同志を作り上げた。
そして総統の名のもとに処刑を指示した。―― どう考えても残虐な私刑≒虐殺。



1945年4月 敗色必至となったドイツ軍の士気は低下、相次ぐ脱走兵に加え、一般人に対する乱暴狼藉する一般兵も後を絶たなかった。
そんな規律崩壊もヘロルト誕生の要因だったかもしれない。

軍服を眼にしてヘロルトに従順した上等兵フライタークにとっては階級が全てだった。
何も考えずに軍服を着たへロルトの内面はこの時変化した。

ヘロルトの正体を見破った粗暴な兵士キビンスキーはあえて自ら従った。
その方が色々都合が良いから。

ナチスを信じて疑わない警備隊長シュッテはヘロルトに同調する。
視野狭窄な原理主義者は単純だ。

囚人の取り扱いに苦慮していた収容所の将校の眼にもヘロルトは胡散臭い。
しかしながらヘロルトの肩書は好都合だったかもしれない。

軍服で得た悪運と暴走する狂気。
戦時末期の混沌と、歪んだ権威主義の成れの果てと安易に語れない。
何故?  ――  誰もが持っている闇が解放されただけのことだから。
ヘロルトだけでなく、"共犯者""同調者"にも言える事。
鑑賞した人間が戦慄を覚えるのは虐殺シーンだけではないんですね。
誰もがヘロルトになる可能性を認識するから。


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